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【TOPICS】竹と地球暦 (活用事例紹介)

人と竹、身近な暮らしの中に

日本の里山でどこにもある竹林。清々しく気持ちの良い空間の中で、天に向かって真っ直ぐ、高く伸びる竹。青々とした葉を涼しげに繁らせ、台風の激しい風にあおられても、しなやかにしなって受け流し、夏はさらさらと風にそよいでいる。さわってみると、緑色の肌がすべすべして、ひんやりと冷たく気持ち良い。

竹には節があって、幾つも中空の部屋に分かれていて叩くと甲高い音がする天然の楽器。

木とは姿かたちが違うだけでなく、生長の速さが群を抜いています。竹はイネ目イネ科の草で、こんなにも大きくて堅い草は他にはありません。その驚くべき性質を巧みに活かしながら、竹は人の生活のあらゆる場面で重宝されてきました。建材や内装、ザルやかご、箒(ほうき)や箕(み)、うちわや傘などの生活用品、また竹馬や凧揚げなどさまざまな遊びの材料であり、正月の門松、七夕の飾りなど、竹は神事にはかかせないものでした。

©Kaichi Sugiyama

地球資源としての竹

竹類は世界中に88属 約1500種が確認されていますが、その生育地は赤道を中心に北緯51度のサハリンから、南緯47度の南米チリやアルゼンチンに分布しています。また標高ではヒマラヤの5000m付近や、南米のアンデス山脈では4000m付近まで竹類の生育が確認されています。竹類が生育するには温度と水分条件が重要ですが、生育温度は種類によって大きく違います。たとえば極寒の地域に生育するチシマザサは最低気温マイナス20度以下でも枯れません。また、年間降水量は約1000ミリぐらいは必要ですが、たけのこの生長期に乾燥しなければ生育できます。竹類の生育面積は世界中に1600万ヘクタールぐらいあると言われていますが、その内の70%が熱帯アジアと東アジア地域に分布しています。

そして、日本は竹や笹の生育に非常に適した環境にあります。

 

春の味覚 タケノコの春

全国の市場に出回るタケノコは春の旬の味覚日本にある竹や笹でタケノコとして食用できるのは8種類。もっとも多いのはモウソウチク(孟宗竹)で関東付近では3月 春分〜5月 立夏の頃が最盛期。南伊豆や四国、九州の暖地では正月頃から早出しのものが出回ります。

先端が黄色いものがメスでふっくらと丸みがありえぐみ少なく味が良く、先端が緑色のオスも十分にアク抜きをすれば美味しく食べられます。また5月以降の伸びた竹も揺すって先をポキンと折った穂先タケノコもアクが少なくサクサクとした食感と甘みがあり美味しく食べられます。

その他は5月 立夏 以降に、ホテイチク(布袋竹)、カンザンチク(寒山竹)、5月下旬 小満 からマダケ(マダケ)、そして竹の少ない北海道や東北地方で自生している笹のネマガリダケ(根曲竹)は山の雪が溶ける6月 芒種から夏至のころ、9月下旬 秋分ころにシホウチク(四方竹)が食用とされています。

アクを抜いたタケノコは、酢漬け、塩漬け、水煮や乾燥など、保存にも優れて年中食べることができ、いろいろなタケノコ料理の楽しみがあります。竹林で朝掘りした直後に食べるさしみ、皮ごとまるごと炭火で焼いた焼きタケノコ、その他にタケノコご飯や煮物のおかずなど、食卓には欠かせない春の味覚です。

 

photo : たけのこの画像はネットより

その驚異的な生命力

竹はどんな植物よりも速く勢いよく生長します。一本の竹には60〜100の節目があり、すでにタケノコの状態で節の数や太さも決まっており、ちょうど提灯(ちょうちん)を畳んだような状態で地上に頭を出してきます。

タケノコは前年の秋頃から7〜8ヶ月かけて地中で準備をし、3月 春分ごろ地中の温度が10℃以上になると、勢いよく飛び出してきます。モウソウチクなどは1日に20リットルぐらいの水分を吸い上げ、親竹から養分が供給されるとわずか40〜60日ほどで10メートル以上(3階建てほど)の大きさに生長します。

生長期には1秒間に9万個もの新しい細胞が作られ、1日に1メートル伸びることもあります。そして6月 夏至が近づくと生長が止まり、その後は太くも長くもなることはなく、1年の1/4ほどの第1四半期のわずかな期間で杉よりも高くなり生長が完了します。

 

関連画像

photo : 朝日新聞教育プロジェクト

忘れ去られた日本の原風景

かぐや姫の竹取物語では、翁が「竹をよろずのことにつかいけり」とあり、竹は平安時代以前からさまざまな生活用品を供給してきました。タケノコからわずか1.2ヶ月の間に杉よりも高くなる「草」ですから、有効に活用すれば非常に便利な反面、手入れされず放置された竹林は残念ながら雑草のようになり、里山の景観を壊してしまいます。

杉や檜の植林地や、雑木林の森だけなく、茶畑などの耕作地にまで竹が侵入している光景は珍しくありません。自然の多様性というのは幾種類もの草や木の花が咲き、その甘い香りに昆虫や野鳥が集まり、生き物たちが相互に関係しあって恵みの豊かさを与えてくれている状態で、環境が単純化すると生態系はどんどん崩れていきます。日本は国土の67%(およそ2/3)が森の国。日本人にとって里山や森林は当たり前の原風景だったはずですが、見慣れた風景が昔とどこか違う…、そういった環境の変化には意外と気づきにくいものです。

 

自然の恵みを豊かに活かす

竹林の問題の多くがタケノコなどで親しみのあるモウソウチク(孟宗竹)です。いまや日本各地にありますが、歴史的には1736年に島津藩が琉球経由で輸入したことがはじまりですから、実はわずか300年ほど前のことです。特に忘れてはならないのは戦後になってから増えたということです。外来種としてはセイタカアワダチソウやセイヨウタンポポのように考えられがちですが、モウソウチク(孟宗竹)の場合は人が積極的に各地に移植して育ててきました。その繁殖力は1年で2〜3メートル(最大6メートル)地下茎を拡大し、静岡県の調べでは20年間で1.3倍、場所によっては3倍ほど広がったとのことです。

さまざまな問題はありますが、竹林は毎年6.7年を経過した老いた竹を伐採し、タケノコを収穫する程度の管理からはじめれば良いという簡単なことです。旬を味わい、里山の景観を作るだけで、竹はいつまでも豊かな恵みをもたらしてくれる非常に有用な植物なのです。

 

ワークシート活用例 2017

この地球暦ワークシートは静岡県浜松市で、趣味で竹林の活動をされている佐野清美さん(浜松里山竹クラブ所属)の活用事例です。2017年は70日、2018年は66日、およそ一年の1/5ほど竹林に入っていたことが緑の印でひと目でわかります。そのほかはピンク色が文化イベント、茶色が竹細工などのクラフトです。こうして見ると年間ずっと作業があるようですが、竹はその性質上、第1四半期に生長しますので、春分から立夏までのタケノコの収穫、生長が止まる夏至に不要な竹を切って整備をするというのが主な仕事になります。

 

ワークシート活用例 2018

2018年の地球暦ワークシートを見てみると第1四半期に作業が重なっているのがわかると思います。春先にタケノコを収穫するということは竹林の管理にとっては非常に大事で、里山に生態系の多様さを取り戻す出発点になります。

2018年は秋に台風があったため、第3四半期に整備の作業がありましたが、基本的には春から夏までの間にしっかりと管理をすれば、竹林はタケノコも含めて多くの恵みを与えてくれます。

 

ワークシート活用例

挿絵 :「不思議な植物 竹 p.50」

photo : 佐野清美さん(浜松里山竹クラブ所属)

 

 

※ 本文テキストの多くは「不思議な植物 竹」(山田辰美・柏木治次 著)から引用・改変させていただきました。この場を借りてあらためて感謝いたします。

 

春分はじまりの太陽系時空間地図、地球暦

 

 

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